概要
授業形式の語り下ろしで「わかりやすい通史」として絶賛を博した「昭和史」シリーズ完結篇。焼け跡からの復興、講和条約、高度経済成長、そしてバブル崩壊の予兆を詳細にたどる。世界的な金融危機で先の見えない混沌のなか、現代日本のルーツを知り、世界の中の日本の役割、そして明日を考えるために。毎日出版文化賞特別賞受賞。講演録「昭和天皇・マッカーサー会談秘話」を増補。
感想
前編(1926-45)と同じく軽妙な語り口に引き込まれた。特に未だに尾を引きずるA級戦犯の扱いはどちらかというと海外からの主張を目にする機会が多かったが、裁かれた側の理不尽さや真理とは離れた世界での決着で悪役を押しつけられた、尻ぬぐいをさせられたという意識は理解できなくもない。そして今話題の憲法もその出自を踏まえるとMade in GHQという評価は免れず議論を呼ぶのも理解できる。日本として大きな判断をポイントポイントでしつつ(日米講和条約、沖縄返還、日中平和条約など)も未だに大きな宿題は残っているその深遠なる理由を知った一冊。