ポストコロナの経済学(熊谷亮丸 著)


ポストコロナの経済学 8つの構造変化のなかで日本人はどう生きるべきか?

概要

コロナ後の危機を、日本はどう乗り越えればよいか?

コロナ後に予想される8つの構造変化(米中対立激化、国と企業の債務肥大化、金融システム危機、非接触社会、手詰まりの財政政策など)を検証し、日本人がどう生きるべきか、多面的に考察。日本ならではの強みを活かして、未曾有の危機を変革のチャンスに変えるための指針を示す。

感想・メモ

歴史的には感染症の拡大とグローバリゼーションはセット。感染症との闘いは長期化することに加えて8つのグローバルな構造変化をもたらす。

新型コロナショックにどう立ち向かうか?

新型コロナショックでは「ヒト」「モノ」が止まった。耐久消費財なら需要が繰り延べされ景気回復時に取り戻すことが期待できるが観光・レジャーは失われた消費は2度と戻ってこないだろう。

新型コロナの対応には3ステージに分けた政策対応が必要。

  1. 感染症の拡大防止に加え国民の生活保障に最大限注力
  2. 消費喚起策は感染拡大に一定程度歯止めのかかった第2ステージで講じる
  3. 第3ステージではテレワーク、オンライン診療、サプライチェーンの再構築など危機管理体制の強化やリスク分散を図る。

また、感染拡大から国民の命を守ることは重要だが経済の急激な縮小が続くと自殺者の増加によって違う角度から国民の命が奪われることもありうる。そのことを肝に銘じる必要がある。

ポストコロナ時代の8つのグローバルな構造変化

歴史的には感染症の拡大とグローバリゼーションはセットであり多くの国で歴史の大きな転換点となってきた。

感染症との闘いは長期化し8つの変化が起こると予想。

  1. グローバル資本主義からSDGsを中心としてたステークホルダー資本主義へ
  2. 反グローバリズムの台頭
  3. 米中対立の激化
  4. グローバルサプライチェーンの再構築
  5. 不良債権問題の深刻化
  6. 財政収支が悪化
  7. リモート社会が到来
  8. 中央集権型から分散型ネットワークへ

ブレア元首相の「History is back!」(中国などの共産主義が復活したことを指す)が注目を集めた。

共産主義は「モラルハザード」「共産主義エリートが市場より劣っていた」の2つの欠陥がありいったん終わった。しかし、AIを活用し個人のプライバシーを犠牲にした徹底した管理社会を気づくことで1つ目の課題を克服。2つ目の課題もテクノロジーの進化により克服。デジタル専制主義の強さが出ている。

日本の強みと弱みを検証する

強みは

  • 社会が安定しサステナビリティが高い
  • 勤勉さ、繊細さが世界一の技術とサービスを生む

の2つ、弱みは

  • 強烈なリーダーシップを嫌い嫉妬深い国民性
  • 付和雷同的で「熱しやすく、冷めやすい」
  • 論理的な思考力が弱く情緒的
  • スピード感の欠如
  • 多様性の欠如

の5つ。

ポストコロナ時代に我々はどう生きるか?

  • 多様性や選択の自由を尊重しつつ有事の緊急事態法制整備が必要
  • 労働市場の機能不全の解消、労働生産性の向上
  • SDGs大国宣言をし国際社会での立ち位置を明確化
  • 感染症へのレジリエンスのある社会を構築する
  • 財政規律の維持
  • 分散型ネットワークの構築と地方創生
  • 企業は存在価値を問い、抜本的な経営変革を
  • 個人はリベラルアーツ(教養教育)、経済・金融を学べ

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