概要
あのデール・カーネギーをして、「本書を一冊手にするためには、シカゴからニューヨークまででも、喜んで歩いてゆく」と言わしめた名著中の名著。不幸にも試合中に腕を折り、選手生命を絶たれた大リーガーが、やがてトップセールスマンになるまでの半生を記録したもので、何と1964年の初版以来、28版を重ねるに至っているという、奇跡の1冊である。
原著はデール・カーネギーの存命中に書かれており、前書きをそのカーネギーが担当している。彼はいみじくもここで、「本書は保険の外交員だけでなく、すべてのセールスマンに益するところはなはだ大で、フランク・ベトガーの死後も末長く不滅の貢献をなすであろう」と述べているが、その言葉は、彼らの死後、確かに実現したと言えるだろう。
内容も、決して読者の期待を裏切らない。小手先の営業技術について書かれた本が多いなか、本書で述べられているのは、営業マンとしてもっとも大切な心構えである。さすがにカーネギーの教えを受けた著者だけあって、人間である顧客の心をいかにして導くか、といった点がよく書かれている。「25年間に4万回人を訪問し面談した」という著者のストイックな生活態度からも学ぶところは多いだろう。
失敗談を含め、ドラマチックなエピソードも枚挙にいとまがない。とくにベトガーの「アフター・ケアのすすめ」を実践した宝石商の話は、感動のあまり、思わず涙してしまいそうなほどである。心構えから技術、そしてエピソードまで、まさに営業マンの人生そのものが詰まった1冊として、すべての営業マンに、そして仕事人に自信を持っておすすめしたい。(土井英司)
感想
印象に残った箇所。
自分の仕事に情熱を持て
- 熱意こそ販売に成功する最大唯一の要素であると確信している。
- 情熱の人となるには情熱をこめた行動をせよ
商売のやり方ひとつ
- 販売は煎じ詰めると一つの事柄になる。「できるだけたくさんの人に面会する」。毎日4,5人の人に会って熱心に話を持ち込め。
- 自分自身の記録について徹底的に研究していたことが自己反省と発奮に非常に役に立った。
自己を動機付けよ
- 人を説得する方法は1つしかない。それはその人が何となく自発的にその子を実行したくなるようにに道案内することである。
15分で25万ドル
- 相手の反対に対しては絶対に反抗する様子を見せてはならない。あくまで相手の意見を尊重しながら相手がこちらの
立場を承認しなければならなくなるような質問をさりげなく投げかけるべきです。
こうすれば必ず成功する
- 面会の約束をすること
- 準備をすること
- 主なる論点は何か
- 主な論点を書き留めておくこと
- 質問を発すること
- ダイナマイトを爆発させること
- 恐怖心を起こさせること
- 信用を得ること
- 相手の能力について正直な評価をすること
- 必ず商談が成立すると信ずること
- 対談中にはあなたという言葉を使うこと
人から好かれるコツ
- 競争相手をほめる
恐怖心を克服するには
- 人に面接しておじけづいた場合には、それを率直にその人の前で認めることだ
新しい顧客を得るには
- 決して顧客を忘れてはならない。と同様に、顧客からも決して忘れられてはならない
フランクリンの教訓
- 節約:満腹して活動力が鈍るほど大食してはならない。己を忘れるまで酔うほど飲酒してはならない。
- 沈黙:他人もしくは自分自身を害するようなことは語らないこと。すなわち、くだらない話は避けること。
- 秩序:すべての物事にそのあるべき場所を定め、秩序を与えること。それぞれの仕事はおのおのの時間を定めて処理すること。
- 決意:当然なすべきことは、あくまでもこれを成し遂げる決意をすること。いったん決意したことは挫折しないこと。
- 倹約:他人もしくは自分自身を益しないことに無駄な出費をしてはならない。浪費はすべて一掃すること。
- 勤勉:時間を空費しないこと。何事にせよ、常に有益なことに時を費やすこと。すべて不必要な行動は排除すること。
- 誠実:有害な詐術を用いないこと。物事は悪意無く、正しく考えること。語るときは、心にもないことを語ってはならない。
- 正義:有害な行いをしたり、利益を計るべき義務を怠って、不正を働いてはならない。
- 中庸:極端に走らないこと。当然憤慨するのが当たり前だと思われる行為に対してさえも、耐え忍ぶこと。
- 清潔:からだ、衣服もしくは住居は、清潔にすること。
- 平静:ありふれた些細な出来事や不可避な事件に遭遇して、取り乱さないこと。
- 純潔:みだりに色欲にふけぬこと。性行為は、健康と子孫のために行うべきであり、そのために、怠惰虚弱を招いたり、自分や他人の平和、名声を傷つけることは避けねばならない。
- 謙遜:キリストやソクラテスを見習って謙遜たること。