概要
前作のマックス老人との出会いで、自分が望む以上に出世してしまった「私」に今度は中間管理職としての悩みが襲う。彼は再びマックス老人にアドバイスを求めるが――。
ベストセラー『仕事は楽しいかね?』待望の続編、『仕事は楽しいかね?2』は、主人公がマックス老人とともに上司と部下の理想の関係を探った1冊。部下の能力はそれを育む上司の能力にかかっているし、上司の仕事の成果は部下にかかっている。仕事の楽しさも同様である。となれば、仕事を楽しむためにはやはり、上司と部下の関係を考えてみる必要がある。本書に登場する中間管理職の「私」は、部下の問題を解決するのに毎日時間を費やしており、ほとほと疲れている。そんな「私」にマックス老人は、「“ほんもの”の上司に出会ったことはあるかね」と、例の口調で問いかける。ポルシェ社の元CEO、ピーター・シュッツをはじめ、成功を収めた上司たちのエピソードを交えながら語られる「ほんもの」の上司は、「管理者」などといった野暮な日本語のイメージとは程遠く、「自由」と「変化」と「チャンス」を重んじる人物である。マックス老人によると、これら3つの要素は、同時に優れた部下が求める要素でもあり、それゆえ優れた上司の下には優れた部下が集まるのだという。上司たちは、「仕事になどいつでもつけるし、お金を稼げることも知っている」優れた人材が望むことを知っており、また「有能な部下は、探すことより探されることのほうがずっと多い」ということを知っている。結果として彼らは、部下を育て、やる気にさせ、助力を得ることができるというのだ。もちろん、そのために具体的に何をすればいいのかも、豊富なエピソードとともに語られている。
基本的には管理職、あるいは管理職をねらう若い人向けの内容だが、自分の能力を伸ばしてくれる上司ややりがいのある職場を探す際のヒントとしても読める。部下が本書に書かれた基準で自分を見るようになったら、要注意である。(土井英司)
感想
中間管理的な役割を担うようになったら読もうと思っていた書。以下は印象に残った箇所をメモ。
1. “ほんもの”の上司に出会ったことはあるかね?
- 最高の仕事は人間同士の結びつきから生まれる。”ほんもの”の上司に出会ったことはあるかね?会うのが楽しみできみを高いレベルに引き上げてくれる人という意味だけど。
- ”ほんもの”の部下とは管理される必要がなく上司にいい仕事をさせ、部署全体をより高いレベルに引き上げるような部下だ。
- ”他社に負けない給料”というのは”普通で平均的で他のみんなと同じくらい”ということだ。
- 必要なのは”最強の逸材”。つまり独創的な考え方をし、独立独歩のできる人だ。多くの場合、自ら出向いて説得しないといけない。そのためには最高の人が働く最高の場所を用意しないといけない。
2. 優れた上司は常にお役所的な体制と戦っている
- ”ほんもの”の上司と”ほんもの”の部下が求めるものは同じだ。自由、変化、チャンスだ。
3. 優秀な管理職の基本的な仕事は管理することじゃない
- 優れた上司は「きみの才能を開花させるチャンスのある素晴らしい環境で働かないか」と誘いかける
- 規則ではなく高い基準を決める
- ビジネスの哲学は「手助け」というたった一言に凝縮される
- 部下がのんきに構えていればそれは変化を与える合図だ
- 権限を手放すことも優れた上司の特徴だ。それも誰かの手にポンと委ねるんだ
- 自分の過ちを認めることでも良い部下を育てやる気にさせることができる
4. 仕事選びの大切な基準は”今より幸せになれること”なんだ
- 優れた部下は上司より高いレベルでできることを何か一つは持っていて時として上司の仕事をチェックしてくれるんだ
- ずば抜けた人材はずば抜けた環境に惹きつけられる
5. 有能な部下は探すことより探されることの方がずっと多いんだ
- 優れた上司はただ部下を雇うのではなく同志を手に入れる
- 一流の人材は職を持つのではなく才能を持つ
6. 労働移動率が20%の企業の方が10%の企業よりずっと健全ということもある
- 解雇と採用を利用して新しい基準を設定できる。つまり自分を目指すものを部下に伝えることができる。
7. 仕事は楽しくなくちゃだめだ。職場から笑い声が聞こえてこなければきみのやり方は間違っているということだろうね
- 優れた長所があってこそ人は能力を発揮する。強みにこそ焦点を当てるべきだ。