概要
長時間労働が常態化しているIT業界において、大手システム開発会社のSCSKは「働き方改革」の先進企業として知られる。
2011年10月に中堅の住商情報システム(SCS)とCSKの中堅2社が経営統合して誕生した同社は月平均残業時間が20時間以下を達成。しかも発足以来5期連続増収増益を記録。
直近の2016年度(2017年3月期)には、本業の儲けを示す営業利益率が優良企業の目安とされる10%を超えるなど、M&A(合併・買収)の失敗例が多いIT業界では数少ない例外となっている。SCSKの高い利益率を支えているのは、赤字案件を減らすための各種施策であり、そのための構造改革・意識改革である。
赤字案件を撲滅するためには、仕事の「質」、すなわち「業務クオリティ」を高めるしかないとの信念に基づき、仕事のやり方や社員の意識を徹底的に変革した。
業務クオリティを向上させるために、標準化や見える化をはじめとする様々な仕組みを整備すると共に、経営からライン職、現場に至る全社員の意識改革に取り組んだ。しかも、その取り組みを6年間、粘り強く愚直に継続した。SCSKの「働き方改革」の舞台裏にあった、知られざる業務クオリティ向上への取り組みを追った。
感想
SCSとCSKが合併後の働き方変革を追った書籍。SCSKもいわゆる問題プロジェクト防止と長時間労働の抑止が課題でSI業界の悩みはどこも同じだなぁとつくづく感じた。
Amazonを見ると現場は残業続き…と理想と現実のギャップを指摘するコメントもあるが、友人がCSK時代から働いていてて「SCSKになって本当に残業が減った」と言っていたので本当に改善はされたのだと思う。
へぇーと思ったのが
「準委任だからと思ったら崖っぷち」
というもので、うちの会社では請負と比べ準委任だとリスクが低いと判断されるけどSCSKだと違うようだ。その理由は
- 善管注意義務、その分野の専門家として求められる能力や立場からみて当然に期待される範囲の行動をとる際に一定の注意を払う義務がある
- プロジェクトマネジメント義務、計画していた開発費用、期間などについてプロジェクトの状況を正確に把握しすること。変更が必要な事態が生じた場合に顧客のシステム開発伴うメリット、リスクを考慮して計画変更の要否を顧客に説明すること
が求められるので準委任と言ってリスクが低いとは考えていないようだ。実際、社内では
「社内的には準委任契約も請負契約と同等に扱うこと」
と運用しているのはなかなかすごい。