概要
「仮説思考」とは、情報が不十分だったり、分析が進んでいない段階でも、先に自分なりの「仮の答え」を持つという考え方だ。よく言われることだが実践するのは難しい。ボストン コンサルティング グループで長く活躍する筆者が自らの実践方法を説く。結論から先に考えることで、問題の全体像を素早くつかみ、正しい解決策を効率よく導き出せるという。
ビジネス書で「仮説」の重要性を説くものは少なくないが、中でも本書の特徴は、とにかく早く仮説を立てるなど「スピード」を重視すること。決断を早くするよう心掛けることで先見性が養われ、限られた時間を重要な問題の検証にあてられる。その結果、仕事の質も高まる。本書では「どうすれば早く良い仮説を立てられるか」、「仮説が正しいかどうかを、どう検証すればいいのか」などを、「化粧品の売上打開策」といったビジネスの現場でよく出会うような事例を基に解説する。日本人はあらかじめ問題がはっきりしている場合には対処できるが、自ら問題を発見する能力が弱いと筆者は危惧する。ビジネスパーソンのみならず、IT関係者にとっても自らの行動を見直すきっかけになる指摘が多く含まれている。
感想
仮説思考にフォーカスをあてたビジネス書。MECEなど基本的なフレームワークを学んだ人が次に読むのがおススメか。
本書で語られるが仮説を立てること自体が重要なのではなく、仮説ベースで全体像(ストーリーライン)を描いて進められるかが大切。
2006年の本なので例が古い(網羅的なアプローチでうまく行かない例としてコンピュータ将棋で名人に勝てないことを挙げているなど)ところもある。
網羅思考は非効率的(P.38)
限られた時間内に課題を発見し、解決策を策定していく場合には網羅思考では非常に効率が悪く、間に合わないこともある。意外に思うかもしれないが、頭の良い人が多い企業、例えば伝統的大企業ほど網羅思考の傾向が強い。結果として理屈先行で、意思決定に時間がかかったり、人の提案にはまず批判や粗探しから入る傾向がある。
内田さんはうちの会社のコンサルをして嫌な思いでもしたのだろうか…
仮説思考のポイント
- 最初から自分なりにある程度まで踏み込んだストーリーを組み立てる
- 正しいかどうかを調べ間違いに気づいたら直ちに軌道修正し
- 改めてほかのストーリーを考える
仮説を立てることが重要なのではなく、仮説ベースで全体像を描いて進めることが大切。
仮説の立て方に定石はない
BCGのコンサルが仮説を思いつく瞬間ランキング。
- ディスカッション
- インタビュー
- 突然ひらめく
- じっくり考えているとき
仮説立案の定石はないとしつつも「分析結果から仮説を立てる」「インタビューから仮説を立てる」を例とともに説明しつつ「ヒラメキ」を生むための
- 反対側から見る
- 両極端に振って考える
- ゼロベースで考える