天才プログラマー/スーパークリエイターとして有名な清水さんがディープラーニング(深層学習)の最先端を行く人達との対談をまとめた書です。「最先端」と謳うだけあって対談相手に
- 東大 松尾先生
- トヨタ・リサーチ・インスティテュート 岡島さん
- NVIDIA 村上さん
- ヤフージャパン研究所 田島さん
- 慶應大 前野先生
- 慶應大 満倉先生
- ドワンゴ人工知能研究所 山川先生
- PEZY Computing 齋藤社長
と蒼々たる人々(神々?)が並んでいます。
一言で言うと皆さん良い意味でぶっ飛んでいる(笑)のですが、IT企業で働く人間としてはトヨタ、ヤフージャパンのお二方の話がまず興味がありました。どうしても現業への貢献が短い時間軸で求められるなかで、ディープラーニングの可能性に賭けてヒト・モノ・カネをつぎ込んで取り組んでいるのはすごい&うらやましい限りです。
アカデミック領域でも王道な感じのする松尾先生、前野先生に対して満倉先生は
今の人工知能研究には、ホルモンの要素が欠けてるじゃないかと思っています(本書 P.214)
というメッセージとともに猫耳っぽいデバイス「Necomimi」を付けた女性の写真が飛び込んできてなかなか刺激的です。
(出典:本書P.215 図4.8)
他にもPEZY Computing 齋藤社長もhigh performance computingという文脈で見てもぶっ飛んだ話満載ですし、もともと医学系のフィールドで活躍されているので1才半で成長が止まってそのまま20年間生き続けた女性の話など興味深い話が目白押しです。
(2017年12月5日追記)「Gyoukou(暁光)」がLINPACK性能で世界4位、1W当たりの演算性能で世界1位の記録をたたき出すなど好調かと思っていましたがNEDOの助成金搾取の疑いで逮捕されてしまいました。
一つ賛否が分かれるポイントがあるとすると、インタビュアーの清水さんがご自身のフィールドに紐づけて色々話しをしているので、それを
- 「最先端」行くもの同士の対話が繰り広げられている
- 対談者の話をやや無理気味に自分の土俵に引きずり込んでいる
のどちらで捉えるかで評価は変わりそうです。間違いなく内容は「面白い!」と言えるのですが、ちょっと読み手を選ぶところはあるかな…という気はします。