【統計検定対策】平均(解法2. 変数を分離し、より簡単な平均に帰着)

投稿者: | 2016-12-03

変数を分離する

和・差の分離

まず、平均の基本的な性質として線形性があります。

Xを確率変数とし、a,bを定数とする。この時、E[aX+b]=aE[X]+bが成立する。

つまり、線形変換Y=aX+bした確率変数の平均E[Y]E[X]から容易にわかります。また、確率変数同士の線形和の平均もそれぞれの確率変数の平均の和に分離できます。

X,Yを確率変数とし、a,b,cを定数とする。この時、E[aX+bY+c]=aE[X]+bE[Y]+cが成立する。

いずれの性質も積分(or Σ)の線形性から容易に示せます。この性質は推定量の不偏性(推定量の平均が母集団のパラメータと一致すること)を示す問題で活躍します。例えば、

平均がμである分布の無作為標本X1,,Xnの標本平均ˉX=1nni=1Xiの平均E[ˉX]を求めよ。

という問題ではE[Xi]=μなので、

E[ˉX]=E[1nni=1Xi]=1nni=1E[Xi]()=1nnμ=μ

Xiの平均に帰着することで標本平均の平均を求めることができます。

積・商の分離

確率変数の積の分離については以下の性質が知られています。(商についても同様)

X,Yを独立な確率変数とする。この時E[XY]=E[X]E[Y]が成立する。

つまり独立な確率変数の「積の平均」はそれぞれの確率変数の「平均の積」と一致するので、それぞれの平均を求めれば積の平均を求めることができます。

例として次の問題を考えてみます。

自由度p,qF分布の平均を求めよ。

自由度p,qF分布に従う確率変数Xは自由度pχ2分布に従う確率変数Uと自由度qχ2分布に従う確率変数VU,Vは独立)を用いて

F=U/pV/q=qpUV

とかけることに注意すると

E[F]=E[qpUV]=qpE[UV]=qpE[U]E[1V]

と2つの平均の積の形で表すことができます。ここで、

  • E[U]は被積分関数に自由度(p+2)χ2分布
  • E[1V]は被積分関数に自由度(q2)χ2分布

の確率密度関数が現れることに着目し、平均の解法1で紹介した定石「確率密度関数の定義域上での積分に帰着」を使うと

  • E[U]=p
  • E[1V]=1q2

が得られます。これより

E[F]=qpE[U]E[1V]=qpp1q2=qq2

を得ます。ちなみに定義に基づいて計算すると

Γ(p+q2)Γ(p/2)Γ(q/2)(pq)p/20x(p/2)[1+(p/q)x](p+q)/2dx

を計算することになり計算の方針を立てるのさえ苦労しそうです。2つのχ2分布の平均に帰着させることでより簡単に平均が求められることがよく分かると思います。

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