統計検定1級を2016年に受験した際の受験記です。受験当日までの準備については「統計検定1級受験記」を参照ください。
受験当日
会場は東大本郷キャンパスでした。試験開始直前(数分前)に来ている人もいましたが、試験開始15分くらい前から解答用紙の配布&受験番号、アンケートの記入があったので遅くとも試験開始15分くらいまでには行く方がよいでしょう。(受験票にも「試験開始15分前にはご着席ください」とありますが念のため。)
統計数理
準備した範囲から3問出ますようにとお祈りしながらスタート。大問1「モーメント計算、推定量の評価」、大問2「確率変数の期待値、推定量の計算」、大問3「線形モデルの推定量評価」と推定量3連発で幸先良く何とかなりそうな問題が並んでいる。残り2問はぱっと見「モンテカルロ法」「欠損のメカニズム」でほとんど勉強していない分野なので問1~3と心中することが確定。
必死で計算するもやはり時間が足りず手応えとしては1完2半。しかし、ここで事件が。解答冊子の表紙にどの大問を解いたのかをマークし、解答用紙にどの問題の解答かを書く必要があるのですが、試験終了の合図で筆を置いて解答用紙を閉じると表紙に解いた大問をマークをしていない!やってしまった…と思ったのですが、なんと試験官が開始が1分遅れたのにそのまま当初の終了時刻でアナウンスしてしまっており1分延長の措置がとられ無事、マークすることができました。午前、午後ともに試験終了後に表紙のマーク忘れを申し出る人がいてて、東京会場は救済されていたように見えましたが解く大問を決めたらすかさず表紙にマークする練習をしておいた方が良いと思います。
公式HPで出ている略解を見ると
- 大問1:[1]○[2]○[3]○[4]×?(一致しないことは示したつもりだが、フィッシャー情報量の値が間違っていた気がする…)
- 大問2:[1]○[2]○[3]○[4]△([4]はJacobianの逆行列を計算したところで大問3へ移り戻ってこられず)
- 大問3:[1]○[2]○[3]△([math]b_0, b_1, b_2[/math]の分散を出して[math]b_2[/math]が[math]b_1[/math]以下であることを示したところで時間切れ)
で、自分としてはこれ以上は望めない結果かなと思いつつも差がつきそうな最後の問題がすべて解き切れずこれがどう結果に結びつくか。
昨年と比べ知識が必要な問題(ネイマン・ピアソンの基本定理を知らないと何もできない問題とか)はなくなり、推定量の評価(不偏性、一致性の証明、分散最小となる推定量の選定)が多かった印象です。推定量の評価は平均、分散の計算に帰着されることがほとんどなのでこの計算をいかに速くできたが合否に直結するのではと思います。同じ会場にいた後輩(数理統計の研究室出身)も「今年は簡単だったが、計算が間に合わなくて完答できなかった…」と言っていたので計算力勝負になっているかもしれませんね。
応用数理
数理統計から1~2問、生存時間解析から1問、人文科学との共通で分散分析か重回帰分析が出ないかなぁ…と祈りつつスタート。大問1は「実験計画法」(と見た目で思ったのが判断ミスだった)、大問2「時系列解析」、大問3「品質管理」、大問4「数理統計(確率変数の特性計算)」、大問5「統計的検定」で分野共通問題がなくなっていることに若干驚きつつ大問4→大問3と進めて、残り15分で改めて大問1を見るとひたすら推定量の評価をする問題で簡単な問題だと気づくのも残り時間が少なく途中で終了…。略解を見ると
- 大問1:[1]○[2]○[3]△([math]V[T][/math]を求めたところで時間切れ)[4]×
- 大問3:[1]○[2]○[3]○[4]×(計算ミス)[5]×
- 大問4:[1]○[2]○[3]○[4]○
で、大問4で時間をかけすぎたことと大問3の計算ミス、大問1の判断ミスとミスを重ねてしまいました。正直、統計数理ほど準備に時間をとれなかったので力不足なんだと思います。帰りに後輩が「応用数理の方が問題としては面白かったけど、やはり時間が足りなかった」と言っていたので応用数理も計算力勝負になっている気がします。
結果(2016/12/21追記)
統計数理/応用数理ともに合格でした。(幸いなことに統計数理はA評価でした。) 応用数理は正直、合格は厳しいかなと思っていたのですがギリギリ合格ラインに入ったようでした。