【統計検定1級過去問】2015年(統計数理)大問3 解答例

投稿者: | 2017-08-27

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大問3は重回帰モデルの最小二乗推定量に関する問題が出題されました。

相関係数との関連や推定量の分散など教科書で登場する内容なので重回帰分析を勉強してきた人には難しくないと思います。ただ、問題量が多く時間内に完答するのは意外と大変な問題セットだと思います。

問題

重回帰モデル

y=β0+β1x1+β2x2+ϵ

を考える。ここでy, x1, x2Rnであり、

  • 標本平均はともに0、つまりeTx1=eTx2=0
  • E[ϵi]=0
  • Cov[ϵi, ϵj]=σ2δij
  • r12: x1x2の相関係数で|r12|<1
  • rky: xkyの相関係数
  • Ski=xkTxl
  • Sky=xkTy

とする。ここでe=(1 1 1)TRn, δij={1(i=j)0(ij)である。この時、以下の問に答えよ。

(出典:「統計検定 1級・準1級 公式問題集」。問題文を一部略記。)

問1

最小二乗推定量ˆβi(i=0,1,2)の満たす正規方程式を与えよ。さらにˆβ1, ˆβ2を求めよ。

X=(e x1 x2)とおくと正規方程式は

XTX(ˆβ0ˆβ1ˆβ2)=XTy

で与えられる。

XTX=(n000S11S120S21S22)

および

XTy=(eTyS1yS2y)

なので

(S11S12S21S22)(ˆβ1ˆβ2)=(S1yS2y)

を解いて

ˆβ1=S22S1yS12S2yS11S22S212ˆβ2=S12S1y+S11S2yS11S22S212

を得る。

問2

r12,rkyを用いてˆβ1<0となるための必要十分条件を求めよ。さらにr1y>0, r2y>0の時にˆβ1<0となるのはどのような場合か説明せよ。

Syy=ni=1(yiˉy)2, ˉy=eTynとおくとr12=S12S11S22, r1y=S1yS11Syy, r2y=S2yS22Syyなのでˆβ1からS12,S1y,S2yを消去して整理すると

ˆβ1=SyyS11r1yr12r2y1r212

を得る。分母は|r12|<1より常に正なのでˆβ1<0となるための必要十分条件はr1yr12r2y<0である。r1y>0, r2y>0の場合を考えるとr1y<r2yでありr121の時、r1yr12r2y<0が成立しˆβ1<0となる。

問3

ˆβ1, ˆβ2S11, S22, S12, σ2を用いて表せ。さらにr12=0r120の場合を比較しV[ˆβ1], V[ˆβ2]がどのように変化するか述べよ。

V[ˆβ1], V[ˆβ2]は分散共分散行列σ2(XTX)1の第2, 3対角成分なので

V[ˆβ1]=σ2S22S11S22S212V[ˆβ2]=σ2S11S11S22S212

である。ここでr12を用いて表現すると

V[ˆβ1]=σ2S1111r212V[ˆβ2]=σ2S2211r212

であり、11r212r12=0の時が最小で|r12|1に近づくにつれ大きくなるのでr12=0の時の分散V[ˆβ1],V[ˆβ2]が最小で|r12|1に近づくにつれ分散は大きくなる。

問4

x1のみを説明変数とする単回帰モデルを考える。この時、最小二乗推定量˜β1=S1yS11で与えられる。V[ˆβ1]V[˜β1]を求め、r12のどのような関数か示せ。さらにE[˜β1]を求めˆβ1, ˜β1のそれぞれ平均二乗誤差(MSE)を求め、大小を比較せよ。

V[yi]=σ2より

V[˜β1]=1S211ni=1x21iV[yi]=σ2S211ni=1x21i=σ2S11

なので

V[ˆβ1]V[˜β1]=σ2S1111r212σ2S11=σ2S1111/r2121

となり、r212の増加関数である。

次に

E[˜β1]=1S11E[S1y]=1S11x1T(β0e+β1x1+β2x2)=1S11(β1S11+β2S12)=β1+β2S12S11

である。これより˜β1のMSEを求めると

MSE[˜β1]=E[(˜β1β1)2]=E[(˜β1E[˜β1](β1E[˜β1]))2]=V[˜β1]+E[(β1E[˜β1])2]=σ2S11+β22(S12S11)2

である。

最小二乗推定量ˆβ1β1の不偏推定量なので

MSE[ˆβ1]=V[ˆβ1]=σ2S1111r212

である。これより

MSE[ˆβ1]MSE[˜β1]=σ2S11r2121r212β22(S12S11)2=(S12S11)2(σ2S11S212r2121r212β22)

でありr12=S12S11S22なので

r2121r212=S212S11S22(1r212)

に注意すると

(S12S11)2(σ2S11S212r2121r212β22)=(S12S11)2(σ2S2211r212β22)=(S12S11)2(V[^β2]β22)

を得る。以上よりMSE[ˆβ1], MSE[˜β1]の大小はV[^β2], β22の大小と一致する。

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