統計検定2級の試験形式と難易度
統計検定2級は統計検定のHPによると
大学基礎科目レベルの統計学の知識の習得度と活用のための理解度を問うために実施される検定です。
とされており大学1~2年生(教養課程)で学ぶ内容が試験範囲です。試験形式は
- 出題形式: 選択回答式(5択問題)
- 出題数: 小問35問程度(大問としては15問程度)
- 試験時間: 90分
と選択式のため準1級以降の論述式と比べるととっつきやすい形式です。
合格基準は公表されていませんがCBT形式では「60点以上」とされており正答率6割が目安になります。また、2級の合格率は「40~50%程度」で推移しておりちゃんと準備すればかなり高い確率で合格できると思います。
出題傾向
ここ数年の出題傾向としては
- 図表から事実を読み解く問題や別の図表で表現した際の特徴を問う問題
- 区間推定、仮説検定は定義を知ったうえで結果を正しく解釈できるか問う問題
- モデルの性質を理解し統計ソフトの結果を解釈できるか問う問題
が増加し、実際のデータ活用に必要な知識、スキルを問う傾向が強くなっています。
出題数が多く難易度が高くない
- 図表読み取り
- 確率変数、標本の平均・分散・相関
を中心に準備をして、区間推定、仮説検定、統計ソフトウェアの準備をすれば合格ラインに入ってくるでしょう。
対策
オーソドックスな問題が多いので教科書を決めて
を繰り返すのが王道かつ確実な方法だと思います。スケジュールとしては一度統計学を学んだ人であれば
- 教科書の学習/復習:1ヶ月半~2ヶ月
- 過去問の演習/教科書の復習:1週間ワンセットで数回
の合計2~3ヶ月取って準備、一から勉強するのであれば教科書の学習に4~5ヶ月取ってトータル半年程度取るのが理想だと思います。大学の授業等で教科書の学習が済んだばかりであれば「過去問の演習/教科書の復習」だけでも何とかなると思います。
教科書の選び方
大学の授業等で使った教科書が「データの集計、まとめ方」〜「推定・仮説検定」をカバーしているのであれば改めて教科書を買う必要はないと思います。1から統計を学ぶ方や手元の教科書がしっくりこない方は統計検定の「推薦図書」に挙げられている
- プレステップ統計学I 記述統計学(稲葉 由之 著, 弘文堂)
- プレステップ統計学II 推測統計学(稲葉 由之 著, 弘文堂)
- 実践のための基礎統計学(下川 敏雄 著, 講談社サイエンティフィック)
- 統計学(久保川 達也/国友 直人 著, 東京大学出版会)
がオススメです。いずれも良書ですが、それぞれ
- 統計学I, II:図表やイラストを使った直感的に理解しやすい説明
- 実践のための基礎統計学:イラストを効果的に使いつつ概念を丁寧に説明
- 統計学:数式を使ってきっちり説明
とスタイルに特徴があるので、どの教科書が合うか一度目を通してみて選ぶと良いでしょう。なお、統計検定の公式テキストは出題範囲を網羅的に確認するのには向いていますが、自学自習にはあまり向いていないので公式テキストの他に1冊教科書を用意した方がよいと思います。
以前、統計検定2級の勉強会をした時は
- 実践のための基礎統計学:メインの教科書として輪講
- 統計学I, II:イメージしづらい時に参照
という進め方をしました。説明が丁寧なので自学自習にも使えるレベルの教科書だと思います。
久保川先生の「統計学」も数理統計学をしっかり勉強したい人や天下り的な説明が苦手な人向けの良書ですし、同じ著者の「現代数理統計学の基礎」などのより発展的な教科書の橋渡し役として最適だと思います。
過去問演習
一通り教科書の内容を読み進めたら過去問を解いてみましょう。また、試験日まで残り2週間を切っているなど時間がない場合も傾向や難易度を知るためにも過去問演習に入った方が良いでしょう。
直近の過去問が統計検定のHPに掲載されていますが、問題と解答番号しか掲載されていません。不明点を周りに質問できる人は良いですが、そうでない場合は統計検定の公式問題集を使いましょう。公式問題集では過去問の解答だけでなく解説もしっかり書かれており独学で勉強する方には心強いと思います。
過去問を1~2回分解いてみると
- 図表読み取り、統計ソフトウェアなど独特な問題形式
- 確率、確率変数の計算問題などの難易度
- 推定、仮説検定で覚えておかないといけない定義、性質
が見えてくると思うので頻出範囲を中心に教科書を復習すると良いと思います。
統計検定の試験特有で慣れが必要なのが
- 電卓の使用
- 標準正規分布表などの分布表の使用
です。ついクセで手計算をしがちですが、度数表の累積割合の計算や確率計算などは電卓を使うと速く正確に答えが出せます。あと分布表も見方に慣れていないと無駄に試験問題と分布表のページを行き来して時間をロスすることになるので事前に練習をしておくと良いでしょう。
ここまで準備できれば試験時間にも余裕があるはずで、落ち着いて取り組めば合格はすぐそこだと思います。