1.7 確率質量関数/確率密度関数

投稿者: | 2020-08-08

前回の記事「1.6 確率変数」では確率変数[math]X[/math]の振る舞いを解析するために累積分布関数

[math]
F_X(x)=P(\{s\in S\ |\ X(s)\leq x\})
[/math]

を導入しました。累積分布関数は[math]X(s)\leq x[/math]となる事象の確率に着目していますが、ここでは[math]X(s) = x[/math]となる事象の確率に着目し累積分布関数との関係を調べます。

確率質量関数

確率変数[math]X[/math]が離散型の場合、次で定義される関数を確率質量関数(probability mass function, pmf)と呼びます。

離散型確率変数[math]X[/math]に対し確率質量関数[math]f_X(x)[/math]は次式で定義される。

[math]
f_X(x) = P(X = x)
[/math]

例えば確率変数[math]X[/math]を「10回サイコロを投げた際の1が出た回数」とすると

[math]
f_X(x) = P(X = x) = {}_{10}C_{x} (1/6)^{x}(5/6)^{10-x}
[/math]

となります。

また、累積分布関数[math]F_X(x)[/math]は確率質量関数を使って

[math]
\begin{eqnarray}
F_X(x) &=& P(X\leq x) \\
&=& \sum_{k \leq x} f_X(k)
\end{eqnarray}
[/math]

と書けます。

確率密度関数

確率変数[math]X[/math]が連続型の場合は点[math]X=x[/math]となる確率は

[math]
\begin{eqnarray}
P(X = x) &\leq& P(x-\varepsilon < X \leq x) \\ &=& F_X(x) - F_X(x-\varepsilon) \\ &\to& 0 \quad (\varepsilon \to 0) \end{eqnarray} [/math]

と常に0になってしまい解析に役立つ形で定義できません。そこで離散型での関係式

[math]
F_X(x) = \sum_{k \leq x} f_X(k)
[/math]

に対応する関数を定義し、確率密度関数(probability density function, pdf)と呼びます。

連続型確率変数[math]X[/math]に対し確率密度関数[math]f_X(x)[/math]は次式を満たす関数である。

[math]
F_X(x) = \displaystyle\int_{-\infty}^x f_X(t)dt
[/math]

確率密度関数を用いると確率変数[math]X[/math]が区間[math][a, b][/math]に入る確率は

[math]
P(a \leq X \leq b) = F_X(b) – F_X(a) = \displaystyle\int_{a}^b f_X(t)dt
[/math]

と書けます。つまり[math]y=f_X(x)[/math]を描いたときの区間[math][a, b][/math]における面積が確率に対応します。

また確率密度関数[math]f_X(x)[/math]が連続の場合、微分積分学の基本定理より

[math]
f_X(x) = \dfrac{d}{dx} F_X(x)
[/math]

が成立します。

最後に与えられた関数[math]f_X(x)[/math]が確率密度関数になるための必要十分条件を紹介します。

関数[math]f_X(x)[/math]が確率密度関数になるための必要十分条件は以下が成立することである。

  • [math]f_X(x) \geq 0[/math]
  • [math]\displaystyle\int_{-\infty}^\infty f_X(x)dx = 1[/math]

関数[math]f_X(x)[/math]が確率密度関数の場合、

  • [math]f_X(x) \geq 0[/math]
  • [math]\displaystyle\int_{-\infty}^\infty f_X(x)dx = 1[/math]

であることは定義から容易に示せます。

逆に関数[math]f_X(x)[/math]が2条件を満たす場合、[math]F(x) := \displaystyle\int_{-\infty}^x f_X(t)dt[/math]と定義すると

  • [math]\lim_{x\to-\infty}F(x)=0[/math] かつ [math]\lim_{x\to\infty}F(x)=1[/math]
  • [math]F(x)[/math]は[math]x[/math]の非減少関数
  • [math]F(x)[/math]は右側連続、つまり任意の[math]x_0[/math]に対し[math]\lim_{x\downarrow x_0}F(x)=F(x_0)[/math]

を満たします。「1.6 確率変数」で紹介した定理から[math]F(x)[/math]は累積分布関数になり、[math]f_X(x)[/math]は確率密度関数になることがわかります。

シリーズ記事

参考文献

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