シンギュラリティは近い(レイ・カーツワイル 著、NHK出版 編)

投稿者: | 2018-02-17


シンギュラリティは近い[エッセンス版] 人類が生命を超越するとき

「シンギュラリティ(技術的特異点)」というキーワードが注目を集めるきっかけとなったレイ・カーツワイル氏の著作です。あと10年ちょっとで

人間の思想と存在が人間と機械が統合された文明によって超越される

とにわかには信じがたい主張ですが、歴史を丁寧に分析しシンギュラリティ実現までに予想される限界についても調査、考察されており読み終わるとあと10年もあれば本当にシンギュラリティは来るのではと思ってしまうほどです。

シンギュラリティが実現するかは未来が証明してくれるのを待つしかないですが、一部の研究者、企業はシンギュラリティを目指して動き出しておりその動きを知り自分・家族の仕事、人生もどうなりそうか?を想像するだけでも面白いと思います。

感想

シンギュラリティの定義は

  • テクノロジーが急速に変化し、それにより甚大な影響がもたらされ、人間の生活が後戻りできないほどに変容してしまうような、来るべき未来のことだ。(本書P.10)
  • われわれ生物としての思考と存在が、みずからの作り出したテクノロジーと融合する臨界点であり、その世界は、依然として人間的ではあっても生物としての基盤を超越している。(本書P.15)

とされており「人間の脳の限界を人間と機械が統合された文明によって超越する瞬間」とも言われています。

そんなSF的な世界はすぐには来ないだろうと思ってしまいますが、宇宙・生命・科学技術の歴史を振り返ると

進化は指数関数的

で我々がよく過去の延長線上に未来を思い浮かべるのと比べ劇的な変化が想像よりずっと短い時間軸で起こると指摘しています。

2030年までに起こる進化の具体例として

  • 人間の知能を模倣するために必要なハードウェアが2025年以内に開発される
  • 2020年代半ばまでに人間の知能をモデル化した有用なソフトウェアが開発される
  • 2020年代の終わりにはコンピュータの知能が生物としての人間の知能と区別がつかなくなる
  • 神経内部でつくられるVRの解像度や信頼度が、本当の現実に匹敵するようになると、人々はますますヴァーチャル環境での経験を重ねることになる

が挙げれられています。要は今は物理的な世界にしか存在しない人間やその知能がコンピュータ上で動作可能になりバーチャルな環境へ移行するということです。

「指数関数的に進化する」とわかっていてもどうしても「光速の壁やエネルギーの有限性からどこかで指数関数的な進化は止まるのでは…」と思ってしまうのですが、エネルギーの効率性の面で大きなブレイクスルーになりうる技術として「リバーシブルコンピューティング」が紹介されています。「リバーシブルコンピューティング」というのは初めて聞いたのですが

  • NOTのような可逆的論理演算(演算結果から演算前の結果が一意にたどれるもの)はエネルギーを取り込んだり熱を出したりすることなく実行可能
  • どのようなコンピューティングでも可逆的論理演算のみを用いて実行可能
  • ただし、結果をコピーする際にエネルギーが必要なのと本質的にランダムな熱運動と量子効果があるためにエラーが内在され、エラー訂正符号にエネルギーが必要。それでも劇的にエネルギーを削減することに変わりはない

と原理的にはエネルギーをほとんど使うことなくコンピューテングができる技術の開発が進んでいるようです。本当に実現すると世界が大きく変わるとともに「シンギュラリティ」の瞬間が近づきますし、今のITの仕組みや下手すると仮想通貨とも絡んで価値観も大きく変わるかもしれませんね。

本書の予想に従えば指数関数的に進化する10年をこれから迎えていくことになります。どういう変化が待っているのか何も知らないと不安になりますが少しでもその方向性、未来像が見えると楽しみも出てきます。そんな楽しみを想像するきっかけを与えてくれる一冊だと思います。


シンギュラリティは近い[エッセンス版] 人類が生命を超越するとき

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