平均はもっとも代表的な統計量であるとともにモーメント母関数、不偏推定量、平均最小二乗誤差などの定義にも登場し、まさに統計学の中心といっても良い概念です。統計検定1級でも
- 有名分布(二項分布)などの平均値を導出過程を含めて解答させる問題
- モーメント母関数を求める問題や不偏推定量を証明させる問題など実質的に平均を求めさせる問題
- 分散や検定統計量を出す過程で平均が必要になる問題
など平均を求める問題は頻出です。平均を求める方法は幾つかあるのでそれぞれ習熟しておくとともに、統計検定1級は問題量が多く時間との戦いになるので最短時間で出せるように適切な解法を選定できるよう訓練しておくことが大切だと思います。
ここでは、平均を算出する方法とその定石を紹介します。
- 解法1. 定義に基づいて計算
- 定石「確率密度関数の定義域上の積分に帰着」
- 定石「奇関数の性質を利用」
- 解法2. 変数を分離し、より簡単な平均に帰着
定義
分布の確率密度関数[math]f(x)[/math](定義域を[math]D[/math]とします)に従う確率変数[math]X[/math]の平均[math]E[X][/math]は
[math]E[X]=\displaystyle\int_{D}xf(x)dx[/math]
で与えられる。(確率変数が離散変数の場合は[math]\int[/math]が[math]\sum[/math]に変わります。)
また、確率変数を関数[math]g[/math]で変換した確率変数[math]g(X)[/math]の平均[math]E[g(X)][/math]は
[math]E[X]=\displaystyle\int_{D}g(x)f(x)dx[/math]
で与えられる。
平均は確率密度関数の定義域上での積分になるので、確率密度関数を覚える際に合わせて定義域も覚えておきましょう。