AIブームで関連書籍も多数出版されていますが、
- AIへの期待感もしくは危機感を煽る本
- AI技術(主にディープラーニング)を解説した本
が多い中、本書は「ディープラーニングを組み込んだシステムを開発する際の通常のシステム開発との相違点や留意すべき点」について書いたユニークな書です。
ディープラーニングを組み込んだプロジェクトが案件化することも多くなって来ましたが、通常のシステム開発はもちろん古典的な機械学習などを使ったシステム開発とも違った苦労(一言で言うと「うまく学習できるかが読めない」)があります。おそらく同じ苦労をしている
- 研究開発や実案件でディープラーニングを組み込んだ場合の工数見積、プロジェクトマネジメントをする人
- 「最近ディープラーニングがすごいらしいから我が社も導入すべきだ!」と無茶ぶり/泣きつかれて困っている人
にとって本書には他の本では得られない情報が載っています。
第1~3章は準備編でディープラーニングの歴史や用語について触れられています。
第4章が「ディープラーニング案件の見積もり」になっており
- 教師データの準備
- 学習用の環境構築
- 学習工程の計画の作り方
- 学習工程が遅延した場合のリカバリー方法
- 学習したモデルの業務フローへの組み込み
- ディープラーニング案件での検収条件の設計
などシステムインテグレータ側の目線で案件を企画、計画、運営するためのノウハウが紹介されています。
第5~6章ではディープラーニングの可能性と限界が触れられており「最近ディープラーニングがすごいらしいから我が社も導入すべきだ!」と無茶ぶりされている人は、この章を参考に導入しようとしている業務にディープラーニングが適しているか確認されることをオススメします。
第8章は知財について書かれていますが、いかんせん技術先行で進んでしまっていて制度が追いついていない状況ですね。
他書とは毛色が少し違いますが、システムインテグレータ目線でディープラーニングを組み込んだシステム開発について書かれておりとても参考になった一冊です。