ビッグデータの残酷な現実(クリスチャン・ラダー 著, 矢羽野 薫 訳)

投稿者: | 2017-06-04


ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かす ビッグデータの残酷な現実

「ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かす」と銘打たれていますが、本書の一番のポイントは著者が「Okキューピッド」というアメリカ大手出会いサイトの共同創業者で、出会いサイトで恋愛パートナーを探すために提供された生身のデータを分析している点でしょう。

題材が面白いのでその分析結果も思わず笑ってしまうものなど色々と紹介されているのですが、冒頭に紹介されている分析結果はなかなか衝撃的です。

まず、女性が「最も魅力的」と思う男性年齢[1]なお、直接的に魅力的な年齢を質問したのではなくOkキューピッドのサイト上で相手を見つける際の言動から導き出した年齢とのこと。を調査し、縦軸に女性の年齢をとり横軸に「最も魅力的」と思う男性の年齢をプロットしたのが下の図(同書P.37 図1-2を引用)です。

点線は対角線(自分の年齢と最も魅力的と思う男性の年齢が一致)を表しています。20代前半はやや年上を魅力的と思う傾向にありますが25~40才くらいはほぼ対角線上で自分と同じくらいの年齢の男性を魅力的と捉えていることが分かります。

同様のグラフを男性側でも作ってみます。つまり、縦軸に男性の年齢をとり横軸に「最も魅力的」と思う女性の年齢をプロットしたのが下の図(同書P.38 図1-3を引用)です。

年齢に関係なく20代前半の女性大好き!ということが一目瞭然です(笑)。

この「男性の年齢と魅力的な女性の年齢は独立である」という法則を映画「バッド・チューニング」のウッダーソンの名言(迷言?)

俺が年を取っても、彼女たちはいつも同い年。そこが女子校生のいいところさ。

にちなんで「ウッダーソンの法則」と呼ぶそうです。なお、世の男性陣が心の奥底では若い子大好き!と思っていつつも現実的な選択としてどういう年齢層の女性にアプローチをかけているかが、後続の節で分析されていますので興味のある方は本書をご覧ください。

テーマによっては人種に関するものなど日本人には少しなじみのないものもありますが、ネットワーク理論(グラフ理論)を応用した事例など面白い分析結果が載せられています。何より出会い・恋愛という身近なテーマを分析しているので、分析を生業としている人以外も面白く読める本だと思います。


ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かす ビッグデータの残酷な現実

脚注

脚注
1 なお、直接的に魅力的な年齢を質問したのではなくOkキューピッドのサイト上で相手を見つける際の言動から導き出した年齢とのこと。

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