コメント
大問3は大問2と同じく指数分布に関する問題でした。大問3も丁寧な誘導がついており誘導にのっていけば完答も難しくないと思います。
大問2と共通する内容もあり大問2、大問3を選択した人は効率よく得点できたでしょう。
問題
f(t)={1μe−t/μ(t≥0)0(t<0)
を持つ指数分布Exp(1/μ)に従うとする。この時、以下の問に答えよ。
(出典:統計検定HP「統計検定 1級の過去問題」。問題文を一部略記。)
問1
まず期待値を求める。部分積分をすることで
E[T]=∫∞0t⋅1μe−t/μdt=[−te−t/μ]∞0+∫∞0e−t/μdt=[e−t/μ−1/μ]∞0=μ
となり期待値はμになる。
次にP(T>t)=∫∞tf(x)dx=e−t/μよりT>tの条件下での確率密度関数fT|T>t(x)は
fT|T>t(x)=f(x)P(T>t)=1μe−x/μe−t/μ=1μe−(x−t)/μ
になるので
E[T | T>t]=∫∞tx⋅1μe−(x−t)/μdx=[−xe−(x−t)/μ]∞t+∫∞te−(x−t)/μdx=t+[e−(x−t)/μ−1/μ]∞t=t+μ
になる。
問2
logf(t)=−logμ−t/μより対数尤度関数は
l1(μ)=−2logμ–t1μ–t2μ
になる。これよりddμl1(μ)=0を解いてˆμ=t1+t22を得る。
問3
まず尤度関数L2(μ)を求めると
L2(μ)=f(t1)×P(T2>t)=1μe−t1/μ⋅e−t/μ=1μe−(t1+t)/μ
になるので対数尤度関数l2(μ)は
l2(μ)=−logμ–t1+tμ
になる。これよりddμl2(μ)=0を解いて˜μ=t1+tを得る。
問4
ξ(k)=E[T2 | μ(k), T2>t]
とし、T1=t1, T2=ξ(k)とした時の最尤推定値をμ(k+1)とする。μ(k+1)に関する漸化式を求めよ。
問1よりE[T | T>t]=t+μなので
ξ(k)=t+μ(k)
であり、T1=t1,T2=ξ(k)とした時の最尤推定値μ(k+1)は問2より
μ(k+1)=t1+ξ(k)2=t1+t+μ(k)2
を得る。
問5
問4より
μ(k+1)–(t+t1)=12(μ(k)–(t+t1))
と変形でき、一般項を求めると
μ(k)–(t+t1)=12k(μ(0)–(t+t1))
となる。これよりk→∞のとき数列{μ(k)}は最尤推定値˜μ=t+t1に収束する。
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