【統計検定1級過去問】2017年(理工学)大問3 解答例

投稿者: | 2018-02-12

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大問3は大問2と同じく指数分布に関する問題でした。大問3も丁寧な誘導がついており誘導にのっていけば完答も難しくないと思います。

大問2と共通する内容もあり大問2、大問3を選択した人は効率よく得点できたでしょう。

問題

2つの機械部品の寿命T1,T2は互いに独立で確率密度関数

f(t)={1μet/μ(t0)0(t<0)

を持つ指数分布Exp(1/μ)に従うとする。この時、以下の問に答えよ。

(出典:統計検定HP「統計検定 1級の過去問題」。問題文を一部略記。)

問1

確率変数TExp(1/μ)に従う時、E[T]を求めよ。また、あるtに対して条件付き期待値E[T | T>t]を求めよ。

まず期待値を求める。部分積分をすることで

E[T]=0t1μet/μdt=[tet/μ]0+0et/μdt=[et/μ1/μ]0=μ

となり期待値はμになる。

次にP(T>t)=tf(x)dx=et/μよりT>tの条件下での確率密度関数fT|T>t(x)

fT|T>t(x)=f(x)P(T>t)=1μex/μet/μ=1μe(xt)/μ

になるので

E[T | T>t]=tx1μe(xt)/μdx=[xe(xt)/μ]t+te(xt)/μdx=t+[e(xt)/μ1/μ]t=t+μ

になる。

問2

T1=t1, T2=t2が観測された時、対数尤度関数l1(μ)を求め、最尤推定値ˆμを求めよ。

logf(t)=logμt/μより対数尤度関数は

l1(μ)=2logμt1μt2μ

になる。これよりddμl1(μ)=0を解いてˆμ=t1+t22を得る。

問3

T1=t1は観測されたが、時点t(>t1)では2番目の機械部品は稼働していたとする。この時、対数尤度関数l2(μ)を求め、最尤推定値˜μを求めよ。

まず尤度関数L2(μ)を求めると

L2(μ)=f(t1)×P(T2>t)=1μet1/μet/μ=1μe(t1+t)/μ

になるので対数尤度関数l2(μ)

l2(μ)=logμt1+tμ

になる。これよりddμl2(μ)=0を解いて˜μ=t1+tを得る。

問4

μ(0)を初期値とし、μ=μ(k)とした時のT2の条件付きの期待値を

ξ(k)=E[T2 | μ(k), T2>t]

とし、T1=t1, T2=ξ(k)とした時の最尤推定値をμ(k+1)とする。μ(k+1)に関する漸化式を求めよ。

問1よりE[T | T>t]=t+μなので

ξ(k)=t+μ(k)

であり、T1=t1,T2=ξ(k)とした時の最尤推定値μ(k+1)は問2より

μ(k+1)=t1+ξ(k)2=t1+t+μ(k)2

を得る。

問5

数列{μ(k)}は問3の最尤推定値˜μに収束することを示せ。

問4より

μ(k+1)(t+t1)=12(μ(k)(t+t1))

と変形でき、一般項を求めると

μ(k)(t+t1)=12k(μ(0)(t+t1))

となる。これよりkのとき数列{μ(k)}は最尤推定値˜μ=t+t1に収束する。

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